貴社は採用難だと言いますが求職者は就職難だと思っているよ

(採用のPDFニュースメール「高田晃一からの手紙」2026年4月7日配信分より)

「応募が来ないのは人手不足のせい」。そう信じていませんか。

ワークポートが2026年3月に実施した調査で、衝撃的な数字が出ました。転職希望者742人のうち59.0%が「今は買い手市場だ」と答えたのです。貴社が「採用難」と嘆いている最中、求職者の約6割は「就職が厳しい」と感じています。

選考のハードルが上がったと実感している求職者は84.0%にのぼります。42.2%が「非常に感じる」、41.8%が「やや感じる」と回答しました。世間は「売り手市場」と言い続けていますが、当事者の肌感覚は真逆です。

ここに貴社の突破口があります。求職者は「自分を受け入れてくれる会社」を探して必死なのです。貴社が伝え方を少し変えるだけで、応募は戻ってきます。

例えば、求人票を開いてみてください。「求める人物像」の欄に何と書いてありますか。即戦力・3年以上の経験・高い専門性・リーダー経験・英語力。5個も6個も条件が並んでいませんか。求職者はその瞬間、画面を閉じます。「自分には無理だ」と。

まさに、貴社が自分で応募者を追い払っているのです。知らなかった!では済まされません。でも、気づいた今日が分岐点になります。

ここで視点を180度変えましょう。「ウチが欲しい人はどんな人か」と問うのを止めてください。代わりに「ウチで5年以上働いている社員は、どんな性格でどんな能力を持っているか」と問うのです。

すると驚く発見が3つ、4つと出てきます。「世間では重要とされるけれど、ウチでは実は要らない資質」があるのです。「最初は未経験でも、3ヶ月の研修で誰でも身につくスキル」も出てきます。「配属後の先輩指導で半年あれば習得できる業務」もあります。これらを1つずつ削っていきます。

残った条件は、驚くほど少なくなります。3個か、多くて4個程度に絞られるはずです。それこそが、貴社の等身大の姿です。世間で語られる「優秀な社会人像」とは全く違う姿が、そこにあります。

私が支援した事例を挙げますと、このとおりです。

Before:求める人物像「即戦力・3年以上の実務経験・専門資格保有・リーダー経験・高いコミュニケーション能力」。これで応募0件。

After:求める人物像「人の話を最後まで聞ける方・約束の時間を守れる方・週3回は笑顔で出社できる方」。これで応募が10件20件と動き出します。

私が支援した松戸市や倉敷市などの企業では、この見直しをしただけで採用に成功した事例が生まれました。広告費は1円も増やしていません。伝え方を変えただけで結果は動いたのです。

ここで大きな視点も持ちましょう。今のまま理想だけを掲げ続けると、5年後の貴社はどうなるでしょうか。帝国データバンクの調査で、2025年の人手不足倒産は427件と過去最多を更新しました。現場は疲弊し、既存社員が辞め、残った人に業務が集中します。悪循環が止まりません。

逆に、等身大の求人票に書き換えた会社はどうなるでしょうか。応募が集まり、選考に余裕が生まれます。採用後の定着率も上がります。5年後、競合が採用難で失速する中、貴社は人材を着実に増やせます。この差は、バランスシートに確実に反映されます。

まさに、今日の1時間の作業が、5年後の会社の姿を決めるのです。損してた、と今気づけたのは幸運です。

ここまで読んだ担当者の方へ、今日すぐ始められる行動を3つお伝えします。

1つめ。今ある求人票を印刷して、赤ペンで「求める人物像」を囲んでください。所要時間5分です。

2つめ。社内で5年以上働いている社員を3人ピックアップし、その人たちの共通点を書き出してください。ランチタイムの30分で十分です。「意外と普通の人だな」と気づくはずです。

3つめ。書き出した共通点と、求人票の条件を見比べてください。一致しない項目に線を引いて削ります。作業時間は15分程度です。

合計50分。お金は1円もかかりません。手元にある紙とペンだけで完結します。

この50分が、貴社の採用を根本から変えます。求職者が「ここなら自分でも活躍できそうだ」と感じる瞬間が、確実に増えます。

ワークポートの同じ調査で、もう1つ重要な数字が出ています。4月入社を最優先したのはわずか17.0%でした。46.9%は「時期より中身を優先する」と答えています。求職者は焦っていません。納得感を重視しています。

逆に言えば、貴社が「等身大で、ありのままの姿」を見せれば、求職者の心に刺さります。時期を問わず、じっくり選んで応募してくれます。

貴社は立派な会社です。5年以上働いている社員がいるなら、それは貴社に価値がある何よりの証拠です。その価値を、等身大の言葉で伝えてください。大げさに盛る必要はありません。貶める必要もありません。

さぁ、今すぐ求人票を開きましょう。50分後、貴社の採用は新しい景色を見始めます。

 


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