社長の趣味で採用を成功している郡山市にある会社

採用がうまくいかない会社の多くは、自分たちの「見せ方」を間違えています。求人広告にお金をかけ、エージェントに頼み、それでも応募が来ない。

新卒も中途も採用に係るコストは暴騰しています。それなのに、どんなに費用をかけても、モームリを喰らってしまうケースも絶えない。しかし、それほど費用を使わなくても、採用が成功している会社もあります。地方都市でも十分に有り得るエピソードです。

福島県郡山市に創業55年の地質調査会社、山北調査設計があります。ドローンで赤外線調査を行い、2026年4月には郡山市街地に出没したクマをドローンで追跡した実績もある、地域密着の専門会社です。この会社がいま、全国から注目を集めています。
(引用元の福島テレビニュース)
https://www.fukushima-tv.co.jp/localnews/2026/06/2026060600000001.html

理由は「eモータースポーツ選手を社員採用している」ためです。地質調査とeスポーツ、一見すると何の接点もありません。しかし林英幸社長は、全国のサーキットを走り回るカーレース愛好家です。

鈴鹿サーキットを含む日本中のコースを知り、YouTubeに動画を上げ、全国最大級のクルマ系イベントを開催するほどの熱量を持つ社長です。その趣味が高じて、国際規格のeモータースポーツが実践できる設備を社内に整えました。ここからが本題です。
(社長のYouTube、Instagram)
https://www.youtube.com/channel/UCKVsqRNMR2SevUl6EFU5XXQ
https://www.instagram.com/fukushima.hide/

eモータースポーツの大会に参加した林社長は、2025年9月の企業対抗全国大会で年間ランキング7位という好成績を収めます。そこで気づいたのは、福島県内に世界クラスの選手が複数いるにもかかわらず、練習できる環境がないという現実でした。

林社長は「誰もやってないことに、まずは挑戦してみよう」と即断しました。会社の設備を選手たちに開放し、eモータースポーツ選手枠として社員採用を始めたのです。

2026年9月に名古屋で開催されるアジア最大級の大会に日本代表として出場する会津若松市出身の國分諒汰選手も、この流れの中にいます。「ここで練習しておけば、本当に走った時に既視感が半端ない」と林社長が語る設備は、リアルとほぼ変わらない環境です。趣味の機材が、採用の武器になりました。

「公私混同だ」と言われそうな話です。しかしよ~く考えてみましょう。求職者はなぜ会社を選ぶのか。給料と休日だけで選んでいるなら、大企業に勝てる中小企業はほとんど存在しません。実際には「ここなら自分の好きなことを続けながら働ける」「この社長と一緒にいたい」という感情が、入社決定の引き金になっています。

山北調査設計に「練習がしたいから入社したい」と応募してきた選手たちは、条件で選んだわけではありません。共通の熱量で引き寄せられた同志です。同志が集まる職場は、離職が起きにくい。これは理屈ではなく、構造の問題です。

私は採用の講演でいつも「社長の趣味が採用の決め手になる」と話しています。釣りが趣味の社長のもとには、釣り好きの求職者が集まりやすい。麻雀が某県で最も強い社長の会社には、麻雀好きの応募がたくさん来て、まるで麻雀道場のような職場になっています。いずれも定着率が高く、粗利を毎年増やし続けています。

これらは全て偶然ではありません。価値観が一致している人間が集まると、コミュニケーションコストが下がります。休憩時間も話が盛り上がります。上司と部下が同じ話題で笑える職場は、人が辞めにくい。趣味で集まった社員が5年も10年も在籍すれば、採用に係る費用は数百万円単位で下げられます。

5年後の市場環境を見渡すと、2030年には国内の生産年齢人口がさらに減少します。採用媒体の競争は激化し、1人あたりの採用コストは今より高くなっているはずです。大企業と同じ土俵で求人広告費を積み増す戦いを続けると、体力のない中小企業から先に脱落します。

しかし「社長の趣味」を軸にした採用は、広告費を増やさなくても機能します。趣味のコミュニティ、SNS、地域イベント、大会協賛。山北調査設計がeスポーツ大会への協賛を通じて採用につなげたように、お金より「熱量の見せ方」が効く時代になっています。

逆に現状維持のまま、「うちには特別なことがない」と思い続けていると、普通の求人広告が乱立する海の中で埋もれ続けます。応募が来ない→お金をかける→採っても辞める→また採用する、というサイクルが続いていきます。とてもまずい。

趣味を持つ社長が執るべき行動は明確です。今日、社長のSNSアカウントで趣味の投稿をどしどしアップロードしましょう。フォロワーが10人でも構いません。前出の林社長のアカウントも、それほどフォロワーはいません。

しかし林社長はYouTubeとInstagramに動画を上げ続けていたからこそ、「この社長の会社で練習したい」という応募が生まれたのです。経費もツールも不要です。社長自身の言葉で趣味を語ること、それだけが起点になります。

採用がうまくいかないのは、求人広告が少ないからではありません。自社の「熱量」が届いていないからです。山北調査設計の事例が証明しているのは、地質調査会社とeスポーツが結びつくほど、趣味の力は業種の壁を越えるという事実です。社長の趣味は、会社の個性です。その個性を堂々と広報する企業が、求職者から選ばれるためのひとつの要素ですよ!

 


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