生成AIで文面を作ったエントリーシートを落とす新卒採用担当者が全体の64%いる

生成AIでエントリーシートを書く就活生が急増しています。文章に詰まる時間がほぼゼロになるため、使わない理由が見当たらないほど便利なツールです。しかし、その使い方を間違えると、選考でどんどん落とされます。知らないままでは本当にもったいない話です。

採用担当者503名を対象にした調査があります(株式会社SHIFT AI、2026年5月)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000116644.html

新卒採用担当の64%が、生成AIで作ったと思われるエントリーシートを選考で落とした経験があると答えています。3人に2人です。就活生の側が生成AIを使えば使うほど、落ちやすくなっているという逆説が現実に起きています。

なぜ採用担当者にバレるのか。

根本的な理由は、生成AIの動く仕組みにあります。市場で使われている生成AIは全て英語で開発されています。日本語でプロンプトを打ち込んでも、内部では英語に翻訳されてから考え、英語で回答し、最後に日本語に翻訳して出力されます。このプロセスを経るため、1文ごとの流れに違和感が生まれやすく、接続助詞や語尾の使い方がわずかにぎこちなくなります。採用の現場で毎日大量の書類を読み続けている担当者には、すぐわかります。

採用担当者が「AIで書いた」と感じる理由の1位は「表現は洗練されているのに、具体的なエピソードや数字が伴っていない」です(同調査、56.4%)。生成AIが出力する文章はきれいに整います。しかし、自分の実際の経験や固有の数字を入力していなければ、内容は空洞のままです。採用担当者はその空洞を即座に見抜きます。「キレイで読みやすく的外れな文面が多すぎる」という声が採用現場から上がっているのはこのためです。

就活生が人気企業へ出すエントリーシートで起きていることを具体的に見てみます。生成AIに「エントリーシートを書いて」と頼む。出てきた文章をそのままコピーして貼り付けて提出する。採用担当者にはすぐわかる。そのまま落とされる。このサイクルが大量に発生しています。

就活生人気企業ランキングの上位に名を連ねる会社の新卒採用担当者が講演でこう話していました。「AIリテラシーのない就活生をかえって見つけやすくなった。全部落としている」と。生成AIを使ったことが問題なのではなく、使いこなせていないことが問題なのです。

事態はさらに進んでいます。手直しなしのエントリーシートが大量に届くことに辟易した企業が、書類選考そのものを廃止し始めています。

ロート製薬は1次選考からリアルの面接を実施し、ソフトバンクは自撮り動画の提出を採用しています。書類で選ぶことをやめ、人を直接見るという方向への転換です。同調査でも、書類選考を廃止・縮小してカジュアル面談を増やした企業が全体の15.7%に達しています。

では、何が問題の本質か?生成AIへ渡すプロンプトの中に、その会社の「内定を出す基準」が入っていないことです。見た目のきれいな文章を作ることに意識が向いており、選考を通過するための文章を作ることへの意識が欠けています。だから的外れになる。だから落ちる。

内定基準の探し方にも注意があります。ナビサイトに掲載されている「求める人物像」をそのままプロンプトに貼り付けるのは逆効果です。採用担当者から見れば「リテラシーの無い情報弱者」だと判断され、即刻落とされます。

ナビサイトの表層情報の奥に、本当の選考基準が隠れています。OB・OG訪問の記録、社員のSNS発信、会社の中長期戦略、代表のインタビュー、IRレポートなどを読み込んだ上で、生成AIに分析させます。

「この会社が内定を出す人物像を推定してください」と振れば、ナビサイトには載っていない本当の基準が浮かび上がります。その基準をプロンプトに含めた上で、エントリーシートの文章を生成させる。これだけで出てくる文章の質が大きく変わります。

ただし、生成AIが出した文章はあくまでたたき台です。自分の具体的な経験、実際の数字、自分だけのエピソードを必ず肉付けしてください。さらには接続詞と接続助詞の使い方も修正しましょう。

これで同調査で採用担当者が指摘した「具体的なエピソードや数字が伴っていない」という問題を、ここで解消します。1つのエピソードに「何人のチームで」「何ヶ月かけて」「結果として何%改善した」のような固有の数字を入れるだけで、文章の密度はまるで変わります。

生成AIの出力をそのまま出す人と、プロンプトを練って自分の言葉で手直しを加える人では、採用担当者の目に映る姿がまったく違います。前者は「使いこなせていない人」です。後者は「ツールを正しく活用できる人」として評価されます。

この記事を読んでしまった就活生は、今から早速実践しましょう。

まず志望企業の中から1社選んでください。その会社の代表インタビュー、採用ページのメッセージ、できれば先輩社員の声を集め、生成AIに「この情報を読んで、この会社が採用したい人物像をできるだけ多く挙げてください」と振りましょう。

出力された全ての人物像をプロンプトに貼り付けてエントリーシートを書き直してみてください。これまでのエントリーシートとの差に、きっと驚くはずです。これが選考に通過するエントリーシートの文面ですよ!

こういう話を就活生向けの講演でいつも話しています。同業者があまり話さないので、結構ウケが良いですよ。

 


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