インターンシップを実施しない方が新卒採用は成功しやすい

28卒のインターンシップ選考が、6月1日から本格的に動き出しました。毎年この時期になると、採用担当者の悩みが一気に噴き出します。「応募が来ない」「去年と何も変わっていない」。その悩みの本質は、実は戦い方の選択にあります。

日本の学生が企業を選ぶとき、最大の基準は知名度です。聞いたことがある会社には応募が集中し、聞いたことがない会社には来ません。これは貴社の実力や職場の良さとは、まったく無関係に起きます。インターンシップという土俵で大手企業と並んだ瞬間、知名度の差だけで勝負が決まります。データを見ても明らかで、従業員300人未満の中小企業では、インターンシップの参加学生数が「想定より少なかった」と答えた企業が約50%に達します。大企業のインターンシップ実施率72%に対し、中小企業は40%台にとどまる一方で、その中小企業でさえ応募獲得に苦戦しているのが現実です。

しかし、ここで見落とされがちな問題がもう1つあります。27卒の採用がまだ終わっていない企業が、同時に28卒にも動いている状況です。限られた人員と時間を2方向に割いた結果、どちらも中途半端になります。優先順位をはっきりさせるなら、27卒の採用を完結させることが先決です。リソースを集中させれば、まだ十分に間に合います。

では28卒のインターンシップはどうすべきか。選択肢は「やめる」か「形を変える」かです。インターンシップを完全に止めたくても、社内の役員が「周囲の企業がやっているのに止めるのか」と反対する場面は珍しくありません。その場合でも、解決策はあります。インターンシップを、2〜3時間で完結するオープンカンパニーに切り替えるだけで、状況が大きく変わります。

オープンカンパニーは、2025年卒採用から制度が整理された、短時間の企業公開プログラムです。要は所要時間が長めの会社説明会です。就業体験を伴わないため、半日から1日で完結します。工数も費用も、複数日にわたるインターンシップとは比べものになりません。受け入れ社員の負担が大きいという課題は、インターンシップを実施する企業の54.4%が感じていることでもあります。インターンシップで伝えたい内容は、3時間以内で十分に届けられます。

オープンカンパニーで押さえるべき点は2つです。「どんな人と一緒に働くのか」「どんな仕事を任されるのか」、この2点を具体的に見せることです。目標は、学生の頭の中に「自分がここで働いている姿」をリアルにイメージさせること。社会人経験のない学生に業界用語を使った説明は逆効果です。平易な言葉で、現場の実態を見せてください。

具体的には、配属先の上長に2〜3時間のプログラムへ参加していただき、直接「一緒に働きましょう」と話してもらいます。製造業であれば機械が実際に動く現場を見せる。IT企業であれば業務で使うソフトウェアをそのまま画面で見せる。学生が授業や研究で触れた内容と重なる場面があれば、親しみが生まれ応募につながります。上長が直接語りかけることは、採用への背中押しにもなります。

この流れには、今の学生の行動特性が味方をします。就活においてタイパ(時間対効果)を意識している学生は、調査によって6割前後に達します。学生は「この会社が自分に合うかどうか」を、できる限り短い時間で判断しようとしています。長時間のインターンシップに複数日を費やすより、凝縮された3時間のオープンカンパニーで判断材料を揃える方が、彼らの行動原理に合っています。企業にとっては工数と費用の削減、学生にとっては時間の節約、双方にとって合理的な選択です。

この判断が5年後の採用環境にどう影響するかも、考える価値があります。インターンシップを無理に継続すれば、毎年応募が集まらない状態が続き、採用担当者の消耗だけが積み上がります。27卒の採用が完結しない状態が長引けば、現場は人手不足のまま生産性を落とし続けます。逆に、今年オープンカンパニーに切り替えて28卒との接点を効率的につくれれば、翌年以降の採用サイクルが安定します。「うちの会社を知っている学生」が毎年少しずつ積み上がり、知名度に依存しない独自の採用ルートが育ちます。私の採用顧問サービスを受けている会社は全てこのパターンです。

今すぐ動き始めるには、難しい準備は要りません。配属先の上長に連絡を取り、「2〜3時間だけ学生に話してほしい」と依頼するだけです。それが最初の一手です。会場は自社の現場にしましょう。特別なプログラムも必要ありません。上長が自分の言葉で「ウチの仕事」を語る場があれば、それが力のあるオープンカンパニーになります。

 


高田晃一への講演依頼
http://takada188.com/alectures

高田晃一の採用の穴診断サービス
https://takada188.com/kenshu/

高田晃一の採用顧問サービス
http://takada188.com/saiyocon-2

採用のPDFニュースメール「高田晃一からの手紙」
隔週刊。配信の申し込みはこちら
http://takada188.com/info/tegami

高田晃一のレギュラーラジオ番組
ふくろうFM「タカダ式!成功する新卒採用」
番組のHP:http://takada188.com/296fm