入社後にまた転職を考える人とそうでない人との違いはここにある

入社3ヶ月で転職サイトを開く人と、3年後も職場に根を張っている人。何がこの2つを分けているのか、調査データに明確な答えがありました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000372.000072123.html

2026年6月に実施された調査があります。入社3ヶ月〜3年未満の20代・30代の正社員200名を対象にした、転職意向の有無別の比較調査です。転職を考えている層の89%が「入社前後にギャップを感じた」と回答しました。転職を考えていない層では41%にとどまります。この差は2倍超です。

さらに細かく見ると、転職を考えている層では「大きなギャップを感じた」が46%に達しています。転職を考えていない層では8%です。入社直後の大きな落胆が、転職への引き金になっていることが数字から見えてきます。

では何にギャップを感じたのか。転職を考えている層で最多だった回答は「入社後に期待される役割」で40%でした。仕事の内容そのものではなく、「自分が何を求められているか」が入社前後でズレていた。次いで「上司・同僚の雰囲気」が33.68%、「仕事内容」と「配属先・チーム体制」がそれぞれ32.63%で続きます。

採用担当者にとって、ここが見逃せない盲点です。求人票や面接で仕事内容は伝えています。しかし「入社後の最初の3ヶ月であなたに何を期待するか」「チームの中でどんな立ち位置を担ってもらうか」「何ができたら評価されるか」まで言葉にしている企業は、驚くほど少ないのです。

結果、入社した社員は役割をつかめないまま不安を抱えます。「仕事が合わない」と感じているだけで、根本の原因に気づかないまま退職へ向かうケースが後を絶ちません。採用コストは1人あたり数十万〜百万円以上かかります。入社後数ヶ月で離職されれば、その全額が損失になります。バランスシートに直接穴が開く話です。

一方、転職を考えていない層が入社前にどこから情報を得たか、という質問の回答が興味深い結果を示しています。この層では「企業の採用担当者」が33%で最多でした。転職を考えている層では、求人票・求人情報ページが43%で最多となり、口コミサイトが28%で続きます。

採用担当者から直接話を聞けた人ほど、入社後も納得感を持って働き続けています。口コミサイトや求人票に頼った人ほど、「聞いていた話と違う」という落胆を抱えやすい。この差は偶然ではありません。公開情報だけでは、期待される役割や職場の空気感は伝えられないのです。

転職を考えていない層で「特にない」と答えた人は26%もいました。転職を考えている層では5%です。入社前に説明してほしかった内容が「特にない」と感じている人ほど、入社後も納得して働き続けます。採用担当者がどれだけ丁寧に向き合えたかが、定着を左右する最大の要因になっています。

入社前にもっと説明してほしかった項目を転職を考えている層に聞くと、「入社後に期待される役割」が37%でトップです。「具体的な仕事内容」の29%を上回っています。仕事の内容よりも「自分に何が求められているか」を事前に知りたかった、という声が最も多い。しかしこの問いに答えられている採用の場面は、まだ多くはありません。

5年後の採用市場を見据えたとき、この問題はさらに深刻になります。転職を考える若手が増えれば増えるほど、採用コストは上昇し続けます。入れても出ていく、入れても出ていく、の繰り返しが続けば、現場の疲弊と採用予算の膨張が同時に進みます。現状維持のままでは、採用の費用対効果は年々悪化します。

逆に言えば、この課題に早く気づいた企業ほど有利な位置に立てます。入社後の離職率が下がれば、採用活動に使う資源を本来の事業投資に回せます。人が定着する会社には評判が集まり、次の採用がさらに楽になります。良い循環が生まれます。

では具体的に何を変えればよいのか。3点に整理します。

1点目は、面接・面談の場で「入社後の最初の3ヶ月に何を期待しているか」を候補者に言葉で伝えることです。「入社したらまず何から始まりますか」「自分は最初、何ができたら合格ですか」と候補者に聞かれたとき、明確に答えられる採用担当者は多くありません。「追って上司から説明があります」「配属後に確認してください」では遅いのです。入社前に言葉で伝えることが、入社後の安心感を生みます。

2点目は、チームの中での立ち位置を具体的に話すことです。「○○さんに入ってもらうことで、今の3人チームの弱点である△△を補いたい」「入社後1年で、このチームの中で最も顧客対応の件数が多いポジションを担ってほしい」まで言えると、候補者は入社後の自分を具体的にイメージできます。抽象的な期待より、具体的な役割の方が人の心に残ります。

3点目は、評価される基準を選考の段階から開示することです。「何ができたら評価されるか」「何ができていないと困るか」を候補者に伝えた上で選考を進める企業は、入社後のギャップを大きく減らせます。これは候補者を選ぶ場であると同時に、候補者が自社を選ぶ場でもあります。

ここで1つ、今日からできる行動を挙げます。次の面接を担当する前に、「入社後1ヶ月で、この人に何を期待するか」を3行で書いてみてください。書けるなら、そのまま面接の中で候補者に伝えてください。書けないなら、それ自体が採用の現場で何が伝わっていないかを示しています。紙1枚、鉛筆1本あれば今日から始められます。

転職を考えていない社員と考えている社員の間には、入社前に「役割を伝えられたかどうか」という差があります。採用担当者の言葉1つで、社員の定着率は変わります。採用コストという数字を動かす力が、面接の場にあります。この事実を知ったなら、次の面接の準備を少しだけ変えてみてください。

 


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