大学へ電話をしただけで就活生からお問い合わせが来た金沢市の会社

「電話しただけで就活生からの問い合わせが来ました!」。金沢市に本社がある会社の社長さんからの喜びの報告です。使った費用は電話代だけ。有料の求人サービスも、大人数を集める説明会も一切利用していません。追加の出費はゼロでした。

この方法、実はほとんどの会社が見落としています。気づかないままでは、正直もったいない話。知れば「もっと早く動けばよかった」と感じる、すぐに使える手です。

キャリタスの調査では、7月1日時点の27卒学生の内定率は85.5%に届きました。前の年の同じ時期(87.3%)を1.8ポイント下回る水準です。数字だけを見ると「もうほぼ決まっている」と受け取ってしまいそう。ところが、就職活動を続けている学生は、内定を持つ人も持たない人も合わせて28.8%も残っています。10人のうち、およそ3人が、今この瞬間も自分に合う会社を探している計算です。

さらに心強い動きがあります。同じ調査で「会社の規模にこだわらず活動する」と答えた学生は49.2%。6月の41.3%を上回りました。大手ばかりに向いていた学生の目は、自分に本当に合う場所へと、確かに向き直っています。中小企業にとって、これほどの追い風は久しくありませんでした。

では、その28.8%は、どこにいるのでしょうか。答えの1つが、大学の運動部です。

大学が力を入れる運動部の4年生は、最後の大会が終わるまで練習漬けの毎日を送ります。就職活動に割ける時間が、ほとんど取れません。仲間が次々に内定を決めるなか、焦りだけを抱えて競技に打ち込む日々。試合が終わって、ようやくスタートラインに立てるのです。周りは、とうに8割超が内定済み。出遅れた焦りは、決して小さくありません。

そんな彼らのもとへ、「うちはまだ募集しています。あなたの応募を待っています」と会社が直接声をかけてきたら、どう感じるでしょうか。救われた心地になるにちがいありません。その気持ちが、応募の形になって返ってきます。

実例を紹介します。7月4日に全日本大学駅伝の北信越地区予選会がありました。8つの大学が出場する中、本戦へ進める枠はたったの1つ。本気で狙う大学が3校ありました。今年、その切符をつかんだのは信州大学、2大会連続の快挙です。おめでとうございます。

一方、惜しくも敗れた大学の駅伝部では、4年生が翌日にようやく就職活動を始められる状況になります。

ここで、かなり前に私の講演に参加していた地元の社長さんが動きました。敗れた2つの大学の駅伝部へ、部長さんと監督さんに直接電話をかけます。「ウチは今も新卒採用を続けています。ぜひ学生さんをよろしくお願いいたします」と直接に伝えたのです。

肝心なのは、連絡先を大学のキャリアセンターにしなかったことです。キャリアセンターの職員はそれぞれの部の個人それぞれの事情までは追い切れません。部員の状況を最もよく知っているのは、いつもそばで見ている部長さんと監督さんなのです。

電話を切ったあと、駅伝部の学生さんが直接に問い合わせをくれました。面接の日程も、すぐに決まりましたよ。電話をかけ、面接が決まるまでにかかった費用は電話代のみ。「高田さんの話をそのまま試したら、本当に応募が来ました」。社長さんが送ってくれた感謝のメールは、驚きと喜びのにじむ1通でした。

同じ状況を、お金をかけて解決しようとすると、どうなるでしょう。有料の求人サービスへの登録、説明会への出展、担当者による連日の準備。数十万円が飛んでいく場面も、珍しくありません。一方、今回の方法は電話代だけ。この差は、そのまま会社の帳簿に残ります。浮いた予算を、入社後の育成や職場環境の改善へ回せる計算です。

視点を、5年先へ広げてみましょう。若い世代の人口は、年々細っていきます。求人にお金を積む競争は、今後いっそう激しくなる見通しです。そのなかで、地域の大学や運動部、研究室と直接つながる会社は、毎年決まった時期に、費用をかけずに学生と出会えます。1度きずけば、翌年も、その次の年も続く関係。派手さはなくても、じわじわ効いてくる財産になります。逆に、有料サービスへの依存を続けたままだと、費用は上がり続け、利益は、そのぶん削られていくでしょう。

うれしいのは、この方法に特別なツールも予算もいらない点です。地元の大学の運動部を思い浮かべ、大会の日程を調べ、試合が終わった翌朝に、電話を1本。電話1本で、今日すぐに始められます。

大切なのは、大会が終わる瞬間を逃さない構えです。カレンダーに主要な大会の日付を書き込み、終わった翌朝に受話器を取るだけ。それだけで、まだ誰も声をかけていない学生と、いちばん早くつながれます。

新卒採用の成功を決めるのは、投じた金額ではありません。相手の状況を思いやり、まっすぐ動く知恵です。今この瞬間にも、結果を出せる方法は、確かにあります。さあ、次にその報告メールを送るのは、あなたの会社の番です。

 


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