若手がすぐ辞める会社と長く育つ会社を分ける採用戦術のちがいとは
学生から内定承諾書をもらったとき、多くの採用担当者は「ひとまず終わった」と安堵します。しかし、そこで手を止めた会社と、そこから動き続けた会社のあいだに、数年後の組織力に決定的な差が生まれています。
株式会社学情が2026年春の新入社員を対象に実施した調査では、入社前のイメージと入社後の現実に「大きくギャップがあった」と答えた人が50.0%に達しました。「ややあった」と答えた34.6%を合わせると、実に84.6%を超える新人が入社後に戸惑いを感じています。4人に3人以上が、初日からすでに「聞いていた話と違う」と感じながら働き始めているのです。
ギャップの中身も具体的に判明しています。最も多いのは「仕事内容」で51.9%、次いで「働き方(残業・休日など)」が38.5%、「職場の雰囲気」が36.5%と続きます。これらはすべて、内定から入社までのあいだに伝えようと思えば伝えられた情報です。さらに見逃せないのは、内定から入社までの説明を「足りなかった」と感じた新人が55.7%に達している点です。半数以上が必要な情報を受け取れないまま入社日を迎えています。
採用にかかる費用は、会社の規模や職種によって異なりますが、1人当たり数十万円から100万円を超えるケースも珍しくありません。その費用と時間をかけて迎えた若手が、入社から数か月で「思っていた職場と違う」と感じ始めるのは、情報を届けなかった貴社に原因があると言えます。厚生労働省のデータでは、2022年3月に大学を卒業した就職者のうち3年以内に離職した人は33.8%に上っています。約3人に1人が、入社から3年のあいだに辞めていく計算です。
若手が定着する会社は内定後に何をしているのでしょうか?答えは入社前の数か月を「関係を深める期間」として使い切っていることです。具体的には、先輩社員の1日の業務の流れ、繁忙期と閑散期の時期、最初の3か月で任される仕事の具体的な場面を、内定から入社までのあいだに継続して伝え続けています。説明会や懇親会を1回開催して終わりにするのではなく、月に1度でも短いメッセージで「最近気になっていることはありますか」と問いかけ続けるだけで、内定者の不安は大幅に減ります。早期離職のリスクも大きく減ります。
月に1回以上の定期的な接点を持つ企業では、内定辞退率が平均32.7%から20%以下に下がる事例も報告されています。月1回の連絡は1通のメッセージで十分です。費用はほぼかかりません。これが大事。
内定後の対話を丁寧に重ねた会社では、新人が「聞いていた通りだ」と納得して働き始めます。期待と現実のギャップが無くなれば、最初の1年での離職はしなくなります。若手が1年目を終了し、年次を重ねて定着すれば、やがて後輩を育てる側に回ります。採用と育成のサイクルが社内に生まれ、外部の採用費に頼る必要性が自然と小さくなっていきます。少ない予算で新卒採用ができてしまう仕組みの完成です。
内定後のフォローを「省略できる工程」として扱い続けた場合どうなるでしょうか?入社した若手がギャップに気づいても相談できる先がなく、静かに転職サイトに登録し始めます。最初の1年で辞められると、採用費・教育費・引き継ぎの手間がすべてゼロに戻ります。翌年もまた同じ費用をかけて採用し直す悪循環は、規模の小さい会社ほど体力を削ります。人手が減れば既存の社員にしわ寄せが来て、次の離職のきっかけを自ら作ることになります。全国的に起きていることですが、これはダメだよ。
今から始められる最初の1手として、内定者へ「入社前に一番不安に感じていることを1つ教えてください」と短いメッセージを送ってみてください。返ってきた答えが、次の面談や説明の場で伝えるべき情報を教えてくれます。仕事内容への不安が多ければ、先輩の1日の流れを動画や文章で届けます。人間関係への不安が多ければ、同期や直属の上司と話せる場を1度設ければ十分です。費用はほとんどかかりません。必要なのは、内定者に「あなたのことを気にかけています」と伝わる行動を、2週間に1回続けることだけです。
採用のゴールは内定承諾ではなく、入社した若手が3年後も5年後もその会社で活躍している姿です。そのために動くタイミングは、内定を出した瞬間から始まっていますよ!
高田晃一への講演依頼
http://takada188.com/alectures
高田晃一の採用の穴診断サービス
https://takada188.com/kenshu/
高田晃一の採用顧問サービス
http://takada188.com/saiyocon-2
採用のPDFニュースメール「高田晃一からの手紙」
隔週刊。配信の申し込みはこちら
http://takada188.com/info/tegami
高田晃一のレギュラーラジオ番組
ふくろうFM「タカダ式!成功する新卒採用」
番組のHP:http://takada188.com/296fm


