学生が思っている就活と企業が考えている就活には、ズレがあることがあります。

今回お伝えする「自分のやりたいこと」をアピールすることが、どれだけ企業から見てズレているのか、ということを解説していきます。

「私は元気でみんなから愛される、アナウンサーになりたいと思います!」

その気持ちは大いに結構ですが、企業からすると、どうしても絶対に共感できないのです。

企業が聞きたいのは、アナウンサーになりたいという言葉ではなく、アナウンサーとして活躍できる「裏付け」と「根拠」なのです。

しかし多くの学生が、「~したい」「~なりたい」を連呼します。

これは何故でしょうか?理由は大きく2つあります。

ひとつめは、会社説明会などの説明から、会社に入社するといろいろなことにチャレンジできるのではないか、という妄想が広がってしまっていること。

ふたつめは、自己分析に依存する就活を行っている人だからです。

自分のやりたいことからすべてを発想していく自己分析には多くの弊害が出てきています。

ましてや今日のような就職活動においては、自己分析に頼る就活は非常に危険が伴います。

よって、自分が書いているエントリーシートおよび面接の受け答えを思い返してみてください。

「~したい」「~なりたい」という言葉を多用していませんか?

気を付けてください。

この言葉は、多くの採用担当の方々の面接に対する意欲を、大きく削いでしまう非常に危険な言葉なのです。

例を挙げましょう。

あなたの友達(男)に「プロミュージシャンになりたい」人がいるとします。

彼はことあるたびに「プロミュージシャン目指しているから!」が口癖です。

そしてあなたは「プロを目指しているということは相当努力しているんだろうな」と考え、ある日その友人にさまざまな質問をしてみることにしました。

「いつもプロを目指しているって言っているけど、いつからそう考えてるの?」

「1年前から、絶対俺はプロになるぜ!って誓ったんだ!」

微妙だ。

1年前って随分最近じゃないか。

そもそも何でプロを目指すのだろう。

「あっそう。で、ミュージシャンって言ってもいろいろあるでしょ。何で目指すの?」

「今それ迷っているんだよね~ギターで行くかピアノで行くかでさ!」

さらに微妙。

ギターとピアノって、バンドとクラシックで迷っているってこと?

「あっ。そうなんだ。迷うよね。ちなみに憧れているロックバンドは?」

「死ぬほど、マキシムザホルモンが好きだな」

「じゃあ次に好きなのは?」

「え?次? 次なんかないよ。マキシムザホルモン命でしょ!」

あんまり、ロックバンドの研究もしてないんだな…こいつ。

「最近どんな努力しての?プロになるために?」

「いや、最近家賃滞納しちゃってて、今はアルバイトばっかりしてる」

こんな会話してたら、こいつは口先だけなんだ、と正直思ってしまいますね。

今のプロミュージシャンの話しのように、何かに「なりたい」と言った瞬間、人事としては先ほどの友人のように「質問責め」を開始します。

そして大半が、「こいつ、口先だけなんだな」と思われてしまうケースが多いのです。

それは何故でしょうか。

「~したい」「~なりたい」と言うと、人事は完全に疑いの眼差しになります。

とにかく疑われているわけですから、鋭い質問が飛んでくることになります。

例えるなら、警察の取り調べ室。

「お前が犯人なんだろう!」というドラマで見たことのある風景の「穏やかなやり取りバージョン」が行われることになります。

よって、自分のいいたい事も言えず、一方的に相手の知りたい質問を浴びせかけられ、その根拠や裏付けとなる確固たる「証拠」が示すことができなければ、人事は不合格の烙印を押すのです。

これは非常に不利です。

最初から疑いの眼差しからスタートするわけですから。

それでは、実際に「~したい」「~なりたい」はどうやって企業にアピールすればいいのでしょうか?

それは簡単です。

「証拠」から提示していけばいいのです。

先程のプロミュージシャンの話であれば、「プロミュージシャンになりたい!」っていうことよりも、つべこべ言わずに「1日12時間、ギターの練習に費やしている」とだけ言えればそれで、間接的にプロを目指しているのではないか、と思ってもらえます。

企業は、あなたのやりたいことをサポートする機関ではありません。

あなたを採用して、あなたに稼いでほしいから、あなたを採用します。

「なりたい!なりたい!」と1億回言われるよりも、「1日12時間、ギターの練習に費やしている」の一言の方が、説得力があります。

是非、自分のエントリーシートや面接を思い出してください。

あなたの感情を、一方的にアピールして満足をしていませんか。

そのアピールしたい感情の裏付けになる情報を、常に企業側に提供するようにしましょう。

これがとても重要です。

気をつけましょう。

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